台湾を訪問して復興支援の感謝を伝えた釜石の子どもたち
5月のゴールデンウイーク(GW)期間を利用し、釜石市内の小学生が台湾を訪れる「釜石キッズラグビー国際交流プログラム」が行われ、13日、帰国した児童8人と市職員らが市役所の小野共市長を訪ね、現地でのスポーツ交流の様子や学んだことを報告した。
台湾から戻った児童が小野共市長を訪ねて活動を報告した
このプロブラムは一般社団法人子どもスポーツ国際交流協会(東京)が主催。2018年と19年、22年に釜石市内で実施し、国内外の小学生を対象にタグラグビー大会や自然文化体験、東日本大震災の学習も織り交ぜて親睦を深めた。コロナ禍での中止やオンライン開催などを経て、今回初めて訪台。震災から10年以上が経過したこともあり、今回で一区切りとする考えで、復興支援への感謝を直接伝えることも目的だった。
GW期間の3~6日の日程で交流活動が行われた。参加メンバーは、小山琉世君(白山小5年)、古藤野望結さん(小佐野小6年)、佐伯晃君(甲子小6年)、佐々木夢空さん(小佐野小6年)、佐々木怜恩君(平田小5年)、田中璃緒斗君(鵜住居小6年)、野田大耀君(小佐野小5年)、藤田創君(釜石小5年)の8人。熊本、福岡、広島県の児童と合わせ計25人で向かい、台北市の小学生30人と交流した。
引率した釜石市文化スポーツ部の佐々木豊部長、市地域おこし協力隊でラグビー普及コーディネーターの竹中伸明さんが行程を紹介。中正紀念堂や故宮博物院など台北市内の史跡を見学したほか、現地の小学校では交流学習としてビーズを使った工作に取り組んだ。歓迎会やタグラグビー大会では、覚えた中国語を駆使して「ありがとう」の気持ちを発信。「できるだけ多くの子と仲良くなろうと、スマートフォンなどの翻訳機能を使ってコミュニケーションをとっていたのが印象的だった」などと振り返った。
台湾で感じた文化の違いなどを楽しそうに伝える児童たち
子どもたちは、日本とは違った文化や歴史、人の優しさに触れたことなど楽しい思い出を小野市長に伝えた。藤田君は「言葉が通じなくてもスポーツをやったり、一緒に活動することでコミュニケーションがとれることを学んだ。これからも積極的に外国の人と交流して釜石のよさを伝えたい」と目を輝かせた。
各地の子どもたちを“ごちゃ混ぜ”にし12チームに分かれて体験活動を展開。タグラグビーでは優劣をつけなかったというが、試合はすべて勝ったと胸を張る小山君は、一番多くの友達を作ったとして「MVP」に選ばれた。ラグビー歴6年で、「知っていることを教えた。作戦を練ったり、たくさん話し合ったから」と自己評価。「ジェスチャーでコミュニケーションをとって、よく分からないけどいっぱい笑った」と、交流を思い浮かべてうなずいた。
たくさんの友達を作って「MVP」に選ばれた小山琉世君(左)
小野市長は「言葉は通じなくても友情を深めることができると肌で感じてくれたことがうれしい。こういう機会があったら、積極的にチャレンジしてほしい」と期待。同席した高橋勝教育長も「これで終わりでなく、次のステージの始まりだと思ってほしい。興味を持ったことをもっと深く知るために調べてみるといい」と勧めた。
「写真展、見にきて!感動伝えます」と意気込む子どもたち
今後の予定として、写真展「かまいしキッズフォト~台湾ラグビー交流」を6月8日と9日に市民ホールTETTOギャラリーで開くことも報告。子どもたちには使い捨てカメラ(27枚撮り)が2個ずつ渡されていて、活動の様子を撮影してきた。展示を通じ、それぞれが見つめた光景を感じてもらい、「ラグビーのまち」の記録にしてもらうのが目的。8日は午前11時から会場でトークイベントも行う。「お気に入りの一枚」を紹介しながら「感動したこと」を伝える。